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英会話講師が検証する「公文式の英語」

目次;

1.はじめに

2.「公文式の英語」の特徴① イーペンシル

3.「公文式の英語」の特徴② 大量のプリント

4.「公文式の英語」の特徴③ 指導者には期待できない

5.「公文式の英語」の弱点は「話す力」

6.まとめ

 

1.はじめに

英語の習い事を考えたときに「英会話スクール」と「公文式の英語」、どちらにするべきかで迷っている方も多いと思います。

どちらにもメリットとデメリットがあるのですが、ここでは、英会話講師の視点からみた「公文式の英語ってどう?」というテーマで、英語学習のヒントなども含めてお話しができれば・・・と思っています。

 

2.「公文式の英語」の特徴① イーペンシル

公文式の英語は、どんなに小さな子どもであっても、英会話スクールのようにゲームやアクティビティをしたり先生と一緒に英語ソングで楽しんで・・・ということはなく、子どもたちはデスク前に座って英語プリントを自習ベースで学んでいく、というスタイルです。

英語プリントと、イーペンシルという少し太めのペン型音声機器を使って少しずつ「聞く・読む・書く」を繰り返して学習を進めていくのですが、このイーペンシルが、英語講師的にはとても優れているツールだと感じています。

英語プリントのマークに合わせてペンシルの先端をあてると、ネイティブの英語音声がペンシル内蔵のレコーダーから聞こえてくる仕組みになっているのですが、これが、子供が自分で英語音声を再生するときには非常に優れているのです。

通常の英語教材では音声を再生するのに、CD番号を追ったり、そもそもプリント(テキスト)とは別に機材を用意する必要があります。そのため、小さなお子さんが自発的に音声を聞いてリピートする、という作業は難しく、多くの英会話スクールでも音声を流すのは先生の仕事です。でも、このペンシルを使えば、子ども自身で、いつでも、何回でも繰り返して聞くことが出来るのです。

また、あえてヘッドセットではなく、ペンシルから音が聞こえてくるという点も「子供はヘッドセットが苦手だからなー。さすが、公文式さんは分かってはる」という感じで、本当にこのイーペンシルは良くできていると思います。

 

3.「公文式の英語」の特徴② 大量のプリント

apple、orangeなどの単語が並んだだけの幼児向けプリントから始まり、中学3年までの文法項目が終わるまでに、なんと、1,200枚・2,400ページのプリントがあって、しかも、子供によっては同じプリントを3回ぐらいやり直します。

100点をとっても、平気で「じゃあこの100枚分はもう一回復習してやりましょう」といった感じで平均でも2回ぐらいはやるのではないでしょうか。

英語は「毎日の積み重ね」が大事ですので、そういった意味では、大量のプリントを、しかも反復しながら進んでいくといったやり方は、非常に優れている英語学習の方法と言えるのではないかと思います。

ちなみに3A→2A→A→B→C・・・I2までの14レベル、1レベル100枚という構成で、各レベルの「学習のねらい」をピックアップすると以下のような感じです。

A:身近な単語(名詞・形容詞・動詞)を聞いて意味が分かる力を高める。イラストと英単語を頼りに身近な単語を音読できる力を高める。

F: 基本的なbe動詞の文・一般動詞の文の構文意識を育てていく。文単位での写し書きを通して、いろいろな人称の文を読み書きする。

H2: 動詞や形容詞を含んだ句、be going to、have toを使った文を読み書きできるようにする。比較表現・受動態を含む文を読んで理解できるようにする。主語の単複に応じて適切な動詞の形を使う。

 

3.「公文式の英語」の特徴③ 指導者には期待できない

上記で例示した「学習のねらい」を見て頂ければお分かりの通り、結構難しい文法項目も入っているのが公文式ですが、少なくとも公文式歴○年のうちの娘を見る限り、きちんと英文法を理解している様子は全くありません。

プリントには「ほぼ答え」となるようなヒントが入っているので、しっかりと理解できなくても何となく進むことが出来てしまうからです。

では、先生が指導してフォローしてくれるか・・・というと、残念ながら英語に堪能な公文式の先生って、あまりいない気がします。公文式の先生募集案内を見ると、「特別な資格や指導経験は不要です!」と大きく宣言しているぐらいですから当然と言えば当然でしょう。

英語講師の視点からは「しっかり理解出来なくても、細かい間違いは気にせず、自分から発言する力さえ養うことが出来ればOK」だと思うのですが、「自分から発信する力」というのが、実をいうと公文式の英語での一番の弱点なんです。

 

4.「公文式の英語」の弱点は「話す力」

英会話力を養うのに必要な、人と人とのコミュニケーション、これを非常に重視するのが巷の英会話スクールであるのに対し、公文式の英語では、この「コミュニケーション」「会話のキャッチボール」の練習機会は皆無に等しいです。

いくら英語の言い回しを勉強したところで、英語によるコミュニケーション能力が育つわけではありません。英語であろうと、日本語であろうと、やっぱり、人対人のコミュニケーションがベースになっているのが言語ですから、この部分が出来ないのは公文式の致命的なデメリットだと言わざるを得ません。

近年、公文式の英語は、低年齢での英検上位級合格者が続出したり、TOEFLと提携するなど、特に英語検定の分野で「結果を出せる学習方法」として注目されています。

英検などの検定試験では、コミュニケーション能力はそれほど必要とはされていない(というより数値化して測るのは困難な)ため、この部分が欠損していても合格出来てしまうからです。

でも、「英語でコミュニケーションができる子供に育てたい」「英会話力を特に伸ばしてあげたい」と思っている親御さんにとっては、公文式の英語だけでは実現は難しいと思った方がいいです。

 

5.まとめ

英語の学習は反復、日々の積み重ねが重要、ということにおいては、いかなる英語教育の専門家でも、反対意見を唱える人はいないと思います。そういった意味では、非常に優れた部分も多い公文式の英語です。

あとは、自習スタイルの弱点である英会話練習、コミュニケーションの部分をどう補うか。

英会話スクールと両方に通うことが出来ればもちろんそれに越したことはないのですが、予算的・時間的に厳しい場合には、安価で始められるオンライン英会話スクールを上手に活用したり、国際交流イベントに家族で定期的に参加するなどの工夫をしてみてください!

 

監修・編集 石田さおり

監修・編集 石田さおり

㈱アクティブプラス代表。 子供英語サークルの運営、大手英会話教室ホームティーチャ―を経て英会話家庭教師を派遣する会社を立ち上げ。 2010年オールアバウトにて英語教育の専門家登録、記事の執筆を行う。 2012年にはオンライン英会話サービスも開始、現在に至る。 「今春、小学生向け英検×英会話の教材を制作しました!ぜひチェックしてください」

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